先日、ホームページをご覧いただき、電話で質問をくださった方がいました。
平成23年の消費税法の改正(免税事業者の判定)の適用時期と新たに会社を設立する時期との関係です。
「誰にでもできる会社設立!」の類の本を見ると、会社を設立して最初の2年間は消費税の納税義務がないことが大きな字で紹介されています。特段言及がない本の場合ですと、3年目からは、自動的に消費税の納税義務があるようにも読めます。
消費税の納税義務の免除のルールは現在次のようになっています。
→ 一般的に、基準期間(現在の事業年度の前々事業年度)の課税売上が1,000万円以下の場合には、消費税の納税義務が免除されます。
→ 新設法人は、最初の2年間は基準期間がないので、最初の2年間は消費税の納税義務がありません(ただし資本金が1,000万円の会社は最初の2年間は必ず納税義務があります)。
→ 3年目からは、基準期間の課税売上を見て判断することになりますが、設立初年度が1年に満たない会社の場合は12ヶ月換算する必要があります。
→ 例えば、設立初年度が3ヶ月の会社で課税売上が300万円の場合には、300万円÷3ヶ月×12=1,200万円となり、3年目は消費税の納税義務があります。
会社によりますが、1年目はまだ売上が小さい会社であれば、3年目も消費税の免税事業者である可能性は十分にあると思います。単純に「3年目からは消費税の納税義務あり」というわけではありません。
平成23年の税制改正のうち消費税の免税事業者の判定ルールの改正が決まれば、平成24年10月1日以降に開始する事業年度からは次のようになります。
→ 基準期間の課税売上が1,000万円以下の事業者であっても、前事業年度の開始の日から6ヶ月間の課税売上が1,000万円を超える場合には、本年の消費税の納税義務は免除されません。
→ 前事業年度の課税売上の金額に代えて、同期間の給与の金額によって判定することもできます。
冒頭のご質問者は、この改正消費税が適用される前(つまり平成24年10月1日より前)に会社を設立すべきかどうか、事業年度をどう決めれば良いのかといった趣旨でした。
平成24年10月1日以降に開始する事業年度が遅ければ遅いほど、改正消費税が適用される時期が遅くなります。今から会社を設立するのであれば、事業年度を11月1日開始の10月31日終了にしておくと、適用時期が遅くなります。
ただし、その場合にも、初年度の課税売上が12ヶ月換算で1000万円以下であることが納税義務が免除される条件なので注意が必要です。
消費税率がいずれ上がるのではないかといった憶測の中、会社の設立時期や事業年度の決め方にも影響を及ぼすことをあらためて認識したご質問でした。