オバマ大統領の再選が決まり、アメリカでも富裕層への課税強化が話題となっています。

アメリカと日本の政治状況は大きく異なりますが、富裕層への増税が話題になるということでは共通しています。

今週、民主税調が、富裕層への所得税・相続税の増税を打ち出した報道がされています。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20121108-00000006-asahi-pol

このコラムでも書いていますし、セミナーでもいつも話をしていますが、これら高所得者や資産家への課税強化は、既に税制改正の規定路線となっています。

消費税の増税法案を通すときに、所得税・相続税の増税と切り離さなければ、消費税法案が通らないということで、平成25年税制改正論議(つまりこの時期)で話をすることとなっていたものです。

私が気になるのは、このような報道で「富裕層」という言葉を使うことです。

所得税の最高税率が現行の40%(住民税を含めると50%)から、45%(同55%)にする議論があります。現在の最高税率の対象は、課税所得(経費や各種控除を差し引いた後の金額)が1,800万円以上ですので、かなり高額の所得を得ている方が対象です。 

一方で、相続税の基礎控除は5,000万円+1,000万円×法定相続人の数(たとえば、相続人が妻と子二人の場合は8,000万円)から、3,000万円×法定相続人の数(同4,800万円)となります。

これが「富裕層」という言葉から連想する人たちだけに課税強化されるものかというとそうとは言えません。相続税の課税に関しては、かなり課税の裾野が広がるからです。

アメリカの場合は、選挙で選ばれたオバマ大統領が政策を実現しようと、中間層の減税とセットで「富裕層」課税強化がなされます。

消費税の増税で「庶民」の税負担が重くなることとのバランスで、更に「富裕層」への課税強化をするという日本とはずいぶん環境が違います。

増税の上に増税が乗っかる日本の「富裕層課税」と、アメリカの「富裕層課税」論議の違いを理解した上で、報道に接したいものです。

少なくとも、日本の場合は「富裕層」のみに対する課税強化だと思ったら、大間違いかもしれません。気をつけなければいけません。

大阪市長の橋下氏が、消費税を11%に引き上げ、うち6%を地方間の税収格差を是正するための財源にする案を発言したそうです。

http://mainichi.jp/select/news/20121030k0000e040169000c.html

あまり橋下氏の税に対する発言に注目して来なかったのですが、インターネットで見てみると、橋下氏はTwitterでは相続税の課税強化についても言及しているようです。

実際のtwitterを見てみると、橋下氏の10月30日のツイートでは、社会保障の財源不足を相続税で考える趣旨の発言が並んでおり、具体的な制度改正についても語っています。

「基礎控除をなくして一律課税にすると高齢者が増えれば理論的にはそれに対応して税収は伸びるし、景気にほとんど影響を与えない。」

この他、あらためて維新八策を見ると、「超簡素な税制=フラットタックス化」などの文言も並びます。

これら政策を支持するかどうかは、個々人で考えることですが、今の税制になじんでいる(なじんでしまっている)立場からすると、極めて斬新な案に映ります。

既存制度にとらわれずゼロベースで未来を考えることは、大切なことです。特に今の日本の閉塞感を破るためには、既存の制度を根本から見直す必要があるのかもしれません。

一方で、税という自分の専門領域に限定すると、混乱を避けるためには一定の継続性が必要だとも思います。

橋下氏の案には、いろいろ突っ込みたい点もありますが、大いに税に対する議論が盛んになることは大歓迎です。

消費税が増税になったときに、消費税分を価格に転嫁(売上への上乗せ)ができないと、経営を圧迫することになります。立場の弱い中小企業は、取引先の大企業から転嫁を拒否される恐れがあると見られています。

政府がこの「価格転嫁」問題への対策に乗り出したというニュースです。

http://newsbiz.yahoo.co.jp/detail?a=20121026-00000021-biz_fsi-nb

チェックするために「転嫁対策調査官」を経済産業省など各省に設置するそうです。

「転嫁対策調査官」は、増税分の上乗せを拒否した企業に対しては、公取委などと連携して行政指導を行い、指導に従わない企業は公正取引委員会が増税分の支払いを勧告します。勧告に従わない企業は、企業名の公表や罰則も科すこととするようです。

税務署は、納税義務者である事業者(法人、個人事業者など)から消費税を徴収することしかしません(できません)。ぜひ転嫁対策調査官と公正取引委員会は中小企業の味方になってもらいたいものです。

心配なのは、実際に機能するかどうかです。転嫁を拒否された中小企業が、本当に相談窓口に駆け込んでくれるのかどうか。そんなことをしたら、それこそ取引をしてもらえなくなると考える中小企業経営者が大多数であるように思えてなりません。

消費税の仕組み(仕入税額控除)を正しく理解していれば、価格転嫁を拒否することは値下げを強要することと同じ意味だと理解できます。

転嫁拒否は、便乗値下げなり。

今や消費税は、経理部の人だけでなく、ビジネスマンの常識として広く理解される必要があるのではないでしょうか。

10月19日(金)朝日新聞の朝刊の記事に、「仕入れ控除で消費税逃れ」という記事が掲載されていました。

http://www.asahi.com/national/update/1019/TKY201210180854.html


消費税というのは、納税義務者である事業者が消費者や取引先に消費税を転嫁(納めるべき消費税相当額を売上に上乗せして請求すること)した上で国に納めるべき税金です。

消費税を納めるときに、事業者自身が仕入や経費として支払っていた消費税について、一定のルールに基づいて控除をすることができます。

これを「仕入税額控除」とよんでおり、この控除をしないと事業者に過大な消費税の税負担となります。

消費税は、酒税やたばこ税などと同じ「間接税(納税義務者と税負担者が異なる税のこと)」と呼ばれていますが、それらの税と異なり流通のあらゆる段階で課税がなされます。

あらゆる段階で課税がなされるからこそ、「仕入税額控除」という仕組みを設けて、税の累積による過度な税負担が排除されています。

難しい表現になってしまってすいません。

言いたいことは、仕入税額控除は、消費税の仕組みを成り立たせるために必要なルールであって、納税者に与えられた恩典などではないということです。

消費税法の条文で、一定の帳簿保存や詳細な控除ルールが定義付けられていることから、仕入税額控除は納税者に認められている一種の恩典のような位置づけと誤解されることがあります。

この記事では、実際に行っていない仕入れにかかる消費税を控除して納付すべき消費税を過少申告したといった不正が報道されています。

これは明らかに消費税法に反した行為であり問題です。しかし「仕入れ控除で消費税逃れ」の見出しに違和感を覚えます。

この見出しを見た読者は、消費税の仕組みとして不可欠な「仕入税額控除」そのものに問題があるというように誤解するのではないでしょうか。

消費税の税率アップに向けて、脱税を指摘しようとするこの記事自体は結構だと思いますが、見出しはもっと本質を捉まえたものにしてもらいたいと思います。

復興財源が被災地以外で使われていることが大きな話題となっています。

被災地と離れている税務署の耐震改修にも使われているという報道もあり、驚きました。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20121006-00000005-asahi-pol

来年度から所得税が復興財源のために増税されます。平成25年1月1日以降の所得税の源泉徴収から適用されることになります。

復興増税は、通常の所得税が2.1%増しになります。毎月の給与にかかる所得税も2.1%増しとなります。

また個人に対する講演料の報酬など10%の源泉徴収対象である支払いは、10.21%の源泉徴収が必要となります。

たとえばこれまで手取りで20,000円の報酬を払うために、所得税込で22,222円の講演料を払うと決めていた場合には、22,222円×10.21%=2,268円の源泉所得税となります。

したがって手取りは、22,222円‐2,268円=19,954円となり、20,000円の手取り報酬にはならなくなります。

この場合、20,000円÷(100%-10.21%)=22,274円と計算をして、所得税込の報酬を計算します。22,274円×10.21%=2,274円が源泉所得税となり、22,274円-2,274円=20,000円の手取りとなります。

被災地の復興のためにと国民が納める税金を、しっかり復興のために使ってもらわなければ許されることではありません。納税者の権利として、しっかり見て行きましょう。

ご存知の通り平成26年4月1日から消費税8%への増税が決定しています。まだまだ先と思っていると、あっという間にその日が来ます。

消費税は一部の非課税を除き、すべてのモノとサービスに同じ税率で課税がされるので、経済的に中立という説明がなされますが、税率の上昇局面においては、著しく経済に影響を与えます。

そんなこともあり、各種報道でも不動産などを増税前に買った方が良いのか、その必要はないのかなどの記事が出回るようになりました。

http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20121007-00000012-pseven-soci

知っておきたいのは、前にもコラムで書きましたが、消費税法に「請負工事等に関する経過措置」が設けられていることです。平成25年9月30日までに請負工事等の契約を締結し、平成26年4月1日以降にその契約にかかる引き渡しがなされる場合には、消費税の税率は改正前の5%が適用されることになります。

また住宅ローン控除の拡大も検討されており、現在住宅ローン残高の1%控除とされている制度が、最大2%まで控除が拡大されるのではないかと報道されています。これが実施されると、消費税の増税分は数年で取り戻すことができます。駆け込み需要の抑制の効果があり、増税後の価格への影響も注目されます。

駆け込み需要が喚起されることそのものが、消費税増税の目的のひとつだけに、政府に踊らされている感もありますが、しっかり勉強をして損をしないようにしたいものです。

不動産の購入は大切なイベントです。不動産業者やハウスメーカーなど売り手の話だけではなく、信頼できる税理士に相談をして、間違いのないようにしましょう。

ちなみに税理士法の定めにより、税金の相談に乗ることができるのは税理士・税理士法人のみとされていますので、ご注意ください。

10月1日からいわゆる「環境税」、正式名は「地球温暖化対策のための税」が施行されます。

そもそもエネルギー課税という括りでは、現在でも揮発油税、軽油引取税、石油石炭税などという税目で、さまざまな税金が課されています。

http://www.env.go.jp/policy/tax/taxes.pdf

今回の「地球温暖化対策のための税」は、税制による地球温暖化対策を強化するとともに、CO2排出抑制のための諸施策を実施していく観点から導入するものであり、原油やガス、石炭といった全化石燃料に対して、CO2排出量に応じた税率を課すものと説明されています。

急激な税負担にならないように、3段階にわけて増税されます。平成24年10月1日施行時点では、本来の税金の3分の1しか課税されません。平成26年4月1日、平成28年4月1日と増税されることになります。

ガソリン代、ガス代、石油を発電に使う電気代の価格に転嫁されてくることから、各家庭の負担は、現在と比較して平成28年では月100円程度の増加と試算されています。

税の目的は、税収を温暖化対策のために使うことと、負担増を嫌う家庭などで冷暖房の温度調整をしてもらいエネルギー使用を抑制することにあります。

「税金の負担がコストに跳ね返ってけしからん」と怒りを覚える方は、冷暖房の使用を控えることで対抗策をとってくださいという税金なのです。

しかし家庭と違い、事業者は簡単に電気やガスの使用を抑制することはできません。私が見たテレビニュースでも、中華料理屋や銭湯が取材されていましたが、今の時代は簡単に価格転嫁というわけにはいきません。

ガソリンスタンドなどは、コスト負担がガソリン1リットルあたりだと円未満になることから、価格転嫁をしようにも逆に便乗値上げと言われかねず苦闘しているという報道もあります。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20120929-00000109-san-bus_all

消費税はもちろん、相続税、所得税の増税見込みと、政府がどんどん大きくなっていきます。

みながエネルギーの節約をすれば、そもそもこの税金はいらないものです。果たしてこれでいいのだろうかと思わされる、「地球温暖化対策のための税」の施行は明日です。

日本経済新聞9月20日朝刊の社会面に「税務調査、増す説明責任」の記事が掲載されていました。

来年1月に税務調査の手続きを定めた改正国税通則法が施行され、これにより税務調査の事前通知や追徴課税の理由説明が原則義務化されます。

これまでの税務調査でも、事前通知が行われているケースが大部分(記事では8割以上とあります)でしたが、法律上の規定はなく、現場の裁量で行われてきました。このことについて、驚かれる方も多いと思います。

日本は憲法に「租税法律主義」を掲げています。租税法律主義とは、国家が国民の私有財産の一部を義務的・強制的に提供させるという側面があることから、その賦課や徴収の方法を法律という一定のルールの下に置こうとするものです。

税務調査といえば、申告と並んで極めて重要な税務イベントです。その手続きが法令で定められていなかったのは不思議なことでした。

この9月に国税庁のホームページに次の通達、FAQが公表されています。

「調査手続きの実施に当たっての基本的な考え方等について(事務運営指針)」
http://www.nta.go.jp/shiraberu/zeiho-kaishaku/jimu-unei/sonota/120912/index.htm

「税務調査手続きに関するFAQ(一般納税者向け)」
http://www.nta.go.jp/sonota/sonota/osirase/data/h24/nozeikankyo/pdf/02.pdf

「税務調査手続きに関するFAQ(税理士向け)」
http://www.nta.go.jp/sonota/sonota/osirase/data/h24/nozeikankyo/pdf/03.pdf

税務調査の内容はもちろんのこと、今後は税務調査の手続きがルールに則って行われているかについて、我々は注視していかなければなりません。

小規模事業者に消費税の納税義務を免除する「免税点制度」をご存知ですか?

基準期間(法人の場合には2事業年度前の事業年度)の課税売上高が1,000万円以下の場合には、消費税の納税義務を免除するという制度です。

この制度によって、消費者が負担する消費税相当額が事業者の手元に残る「益税」とされることがあります。納税義務が免除される事業者であっても、仕入れに消費税を負担しているので、丸々売上の5%を得しているわけではありません。

零細な事業者に消費税の納税義務を課することはないだろうとの考えで、現在は「基準期間の1,000万円」という線引きがなされています。

しかしこの「基準期間の1,000万円」というルールを逆手にとり、意図的に免税の恩恵を受けることができる場合があります。

たとえば、大企業グループなどは、新設法人であっても初年度から相当な売上が見込まれる場合がありますが、設立時の資本金を1,000万円未満にすると初年度は免税事業者に該当します。

このような問題が指摘される中で、本年8月10日に消費税増税が可決された法律の中で、大規模企業グループの免税点制度利用に一定の制限をするルールができました。

平成26年4月1日以後に設立される法人から,資本金の額が1,000万円未満であっても,基準期間に相当する期間の課税売上高が5億円を超える法人が50%超出資して設立した法人である場合には,事業者免税点制度の適用がなくなることとなりました。

消費税が8%、10%と上がる中で、「益税」問題がどんどん解消されようとしています。国民感情的には健全な方向だと思いますが、一方でどんどん複雑な税制になってきています。

日本は租税法律主義です。複雑な税制の中で、税理士が企業に貢献できる機会はますます増えているように思います。

平成25年度税制改正に向けて、各省庁からの要望がまとまったと報道がされています。

先週コラムに書いた住宅ローン控除も目玉となりそうですが、ずいぶん前から話題になっているのが、自動車取得税・自動車重量税の廃止です。

自動車を購入する時に課税される自動車取得税については、消費税との二重課税が指摘されて、経済産業省から直ちに廃止との要望がされています。

自動車取得税・自動車重量税は、かつては道路財源として使われていましたが、平成21年度から、一般財源化されています。これは予算の硬直化や無駄遣いが指摘される中での変更でした。

すなわち、道路整備等の目的を根拠としていた自動車取得税等の課税根拠はなくなったとの指摘です。

いっそ目的税をやめたときに、自動車税等も廃止をすれば良かったのでしょうが、9千億円と言われる税制を廃止することは容易ではありません。

若者の車離れがよく言われていますが、税金を含めたコスト面の大きさも要因だと思います。車の税金を減らすことは、景気支えに重要な役割を発揮することでしょう。

車を買う時に、車を決め、オプションを決め、価格を交渉し、折り合って、購入を決意します。しかしプリントされた見積書を見て、税金を含めた総額とのギャップに目を丸くします。うーんやっぱりなあ、と購入をためらったことのある方も多いと思います。

税収も大きく容易ではないでしょうが、中途半端に税率を軽減するような改正にせずに、思い切って自動車取得税・自動車重量税の廃止に踏み切ってもらいたいものです。

9月1日の日本経済新聞に「住宅ローン減税拡充」の記事があります。

記事によると、減税期間は15年(現行10年)、控除率ローン残高の最大2%(現行1%)、対象となる年末ローン残高の上限は検討中ですが、最高減税額は1000万円になると報道されています。

8%への消費税増税が実施される2014(平成26)年からの減税です。

現在の住宅ローン金利は、有利なレートを出している金融機関ですと、変動金利で1%前後、10年固定でも1%台半ば、30年固定でも2%台のようです。

したがって実質的にほとんど金利負担がなく住宅ローンを組めると考えても良いかもしれません。

しかも、所得税で控除しきれなければ、差額を住宅エコポイントなどで給付する仕組みを検討しているようです。

消費税増税の駆け込み需要の反動を想定し、住宅ローン減税でバランスを取ろうということのようです。

住宅の本体価格に対する消費税が3%(5%→8%)上がり、住宅ローン控除が1%上がる場合、仮に「住宅本体価格=ローン金額」とすれば、3年+αで消費税増税分の元がとれる計算になります。

住宅ローン控除制度は、税制としてあって当たり前、拡大しているときに住宅を購入するとラッキー、たまたま縮小しているときに住宅を買うと残念でしたというイメージでした。

すなわち景気対策としては住宅ローン控除はマンネリ化していたと言えます。

しかし消費税増税で個人の住宅需要が冷え込んだ場合、景気に与える影響は大きいでしょう。住宅ローン控除を活用し、消費税増税時の景気悪化を防いでもらいたいものです。

税金の観点から、住宅購入のタイミングを税理士に相談してみることもお勧めします。

8月24日の朝日新聞社会面に「その印紙、足りないかも」という見出しで、大手企業の印紙税の納付漏れの記事が載っていました。

一定金額を超えた領収書や、一定の契約書を作成した場合に、収入印紙を貼り付けて印鑑で消印をする必要があります。

印紙税の対象となる契約書などのことを「課税文書」と呼びます。個々の文書すべて記載内容が違いますので、ひとつひとつ内容を確認し、「課税文書」に該当するかを判断する必要があります。

記事にも書いてありますが、印紙税は専門家でもわかりにくい税金と言われています。

印紙税の調査をする税務職員は人数的に限られており、大きな企業であっても、印紙税の税務調査を受ける機会は限られています。私も印紙税の税務調査を受ける経験をしたことがありますが、正直な話、印紙税の調査を通して印紙税のことを深く理解できるようになりました。

印紙税の判断に関しては税務署側が情報をたくさん持っており、大手企業が受ける税務調査では、多額の納付漏れが指摘されることが多いようです。

この記事にも、大手銀行が日々の業務で使っている書式に、印紙税の貼り漏れがあったと書かれています。個々の文書で判断が分かれるためそういうことが起こりうるのです。

印紙税というのは、ヨーロッパでは17世紀に施行、日本でも1873年に施行されている、歴史のある税金です。

しかし紙で印刷して「課税文書」として作成しない限り印紙税の対象となりません。同じ内容であっても、電子メールやインターネット上だけの場合には、課税対象とならないことから、印紙税のあり方を見直すべきではないかとの意見もあるようです。

地味な税金ではありますが、数年分の納付漏れを指摘されると負担も大きくなります。企業も自社で作成する文書のチェックをしっかり行う必要があります。

皆さまの会社は大丈夫でしょうか?

8月10日に消費税の増税が参議院で可決されました。2014(平成26)年4月1日から8%、2015(平成27)年10月から10%となります。

セミナーなどで消費税について話す機会があると必ず私が問いかけるのは、「消費税の納税義務者は誰であるか?」ということです。

所得税であれば、事業者や給与所得者など「所得」を得た人が納税義務者です。

法人税であれば、株式会社などがその儲けから払う納税義務者となります。

固定資産税は、土地・家屋などの固定資産を持つ人が納税義務者となります。

では消費税は?

消費者は納税義務者ではありません。消費者にモノを売ったり、サービスを提供する事業者が、消費税の納税義務者となります。

したがって消費者はレジで消費税を払わなくても、「脱税」にはなりません。ただし消費税を払わなければ、商品を売ってもらえないでしょう。

事業者は国に消費税を納めるために、消費者からモノの対価の額に含めて「消費税相当額」を受け取っているにすぎません。

レジでもらうレジペーパーに、「内消費税xxx円」と書いてありますが、一件一件納税されているわけではありません。事業者が一年分の収入支出の記録(帳簿)を作成し、その帳簿に基づいて納税を行います。

国が「消費税を10%にしますよ」と決めたら事業者は大変なのです。消費税を正しく納税できるように、しっかりモノの対価としてお金を頂戴しなければなりません。これができないと、納税の資金繰りに困ってしまいます。

耳をすますと、近未来から「消費税の増税分、値引きしといてよ!」などという声が聞こえてきそうです。特に中小規模の事業者は、消費税増税分の値引き圧力がかかると経営に大きい影響が出ます。

消費税の増税の裏には、利益を削って消費税納税をしなければならない事業者の存在を忘れてはいけません。

納税義務者は事業者であるという重みを、消費者の立場として知っておくことは大切だと思います。

納税義務者である事業者は、消費税の増税が経営に直結する現実を理解し、日頃からの経理処理など万全にしておく必要があります。

消費税の増税を目の前にして、会社経営のために税理士のアドバイスが今こそ求められてきているのです。

8月5日の日本経済新聞の一面に、「相続に不安3人に1人」という記事が載っていました。日経生活モニターに登録した読者に調査をした結果です。

不安の理由としては、1位が「相続税の支払い」、2位が「配分を巡る争いが起きそう」、3位が「財産がどこにいくらあるか不明」とあります。

「税金」と「争族」の問題は、相続を語る上で避けられないテーマであることがわかります。しかし私が注目したいのは、「財産がどこにいくらあるか不明」という回答が多かったことです。

不動産や預貯金・株など、本人は把握していても、家族は案外わかっていない家は多いのではないでしょうか。同居している相続人がいない場合には、相続発生後に財産調査に困難を極めることもあるでしょう。

また同じ記事では、財産を継がせる立場にある人の回答で「遺言を書いている人」は16%にとどまっているとあります。遺言を書くつもりはないと答えた人の理由としては、「相続でもめるはずがない」という回答が44%と一番多かったとあります。

この調査をみると、親子間のコミュニケーションの難しさが伝わってきます。「もしも」があったときの相続財産のことが気になり、しかし親にはハッキリさせることができない子供世代。

子供たちが争うわけはないと信じたい一方で、そもそも財産がどれだけあるのかはっきりさせていない親世代。

そんなときは税理士に声をかけてみませんか?

財産の評価や税金の計算など、税理士の分野です。客観的に数値で把握し、それを家族で話合いをする基礎にして頂く。相続に関する家族間のコミュニケーションをサポートするのが税理士のひとつの役割であると思います。

日頃の家族円満が、いちばんの相続対策と言います。皆さま、家族のコミュニケーションを大切にしましょう。

2012年7月29日の産経新聞ニュースに「消費増税で、大阪名物たこ焼きがピンチ!?」という記事がありました。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20120729-00000532-san-soci

衆議院で消費税の増税が可決され、食料品などの軽減税率に関心が高くなっています。しかしこのコラムでもこれまで何度も書いていますが、何を軽減税率として、何を標準税率とするかの線引きが非常に難しいです。

英国では食料品は0%税率ですが、調理したものは標準税率(20%)で課税がされると紹介されています。調理の基準として、温かいものは20%、温かくないものは0%とあります。

これを参考にすると、大阪のたこ焼きも温かいものなので、標準税率での課税対象になるのとの記事です。

カナダでは5個以下のドーナツはその場で食べられるから標準税率で課税、ドーナツ6個以上は食べきれないから持ち帰りの食品として非課税になると紹介されています。

軽減税率に反対というわけではありませんが、実務上は非常に混乱が予想されます。10%の税率であれば、まだ食料品などの軽減税率導入は早いのだろうと思います。

もし導入した場合を想定し軽減税率の対象は何にするかについて、大いに議論をしても良いのではないかと思います。税金に対する国民の関心が高くなるテーマだと思います。

たこ焼きが軽減税率だと、関東でもたこ焼きパーティーが増えるでしょうか?

アメリカの大統領選挙で法人税改革が議論となっているようです。

http://www.nikkei.com/article/DGXNASGM1803Z_Y2A710C1000000/

アメリカの税率が世界でも高くなっていることから、外国企業による対米投資意欲が削がれ、海外で利益を保持している米国企業が得をしていることが問題とされています。

日本では、昨年の税制改正のときに、グローバル社会で競争力のあるものにするために、法人税率の5%引き下げが行われています。

これにより法人の実効税率(事業税が税金計算上で損金となることを考慮した実質的な税率)は、2012年4月1日以降開始する事業年度より、35.64%(従前40.69%)に大きく下がりました。

ただし3年間は復興のために法人税の10%の復興特別税がかかりますので、当面は38%程度が実効税率となります。

財務省のHPによると、アメリカの実効税率が40.75%ですので、今の日本は確かにアメリカよりも低い税率となっています。

http://www.mof.go.jp/tax_policy/summary/corporation/084.htm


同HPによると、シンガポールは17%、韓国とイギリス24%、中国25%、ドイツ29.48%、フランス33.33%となっています。

国土が極端に狭く外資の誘致が国策であるシンガポールは別格として、先進諸国の中でも米国は高い水準にあります。

もし米国が大統領選挙後に、法人税率を下げることになると、また日本での税率下げの議論が出るかもしれません。

そのように世界の潮流で日本も法人税率を下げていくと、最後はどうなるのでしょうか。高率の消費税で国を支えていくことになるのでしょうか。

景気が上昇し企業の儲けが増えれば、低い税率でも高い税収を確保できることでしょう。やはり、しっかり景気回復に向かいたいものです。

本日(7月16日)の日本経済新聞に「住宅、駆け込み需要じわり」という記事が載っています。消費税の税率アップの前に、住宅を取得しようという動きが出ているようです。

住宅と言えば普通の人にとっては、一生に一度あるかないかのような買い物ですから、税率3%アップの影響は気になるところです。我が事務所のスタッフも考え始めているようです。

消費税率が平成26年(2014年)4月1日から8%に上がる見込みとなっています。同日以後の商品の販売などから新しい税率が適用されることになります。

住宅の場合であれば、住宅の引き渡しを受けた日です。引き渡しを受けた日とは、通常は、住宅の支払いを済ませ、家の鍵を受け取った日ということになります。

住宅の建築には長い時間がかかります。土地の購入から検討する方であれば、あっという間に一年くらい経過してしまいます。

戸建て住宅などは、平成26年4月1日前の駆け込み需要により工事が集中すると、3月31日までに引き渡しをすることが困難になる可能性があります。

それらの事情を鑑み、消費税法には「請負工事等に関する経過措置」が設けられる見込みです。平成25年9月30日までに請負工事等の契約を締結し、平成26年4月1日以降にその契約にかかる引き渡しがなされる場合には、消費税の税率は改正前の5%が適用されることになります。

しかし前回消費税が3%から5%になった平成7年のときには、「建物の譲渡を受ける者の注文に応じて建築される建物」を対象としており、経過措置が適用される住宅販売は限定されていました。今回も同様条件の経過措置となるかどうか注目する必要があります。

景気への悪影響を指摘される消費税増税です。せめて需要の先食い効果により、少しでも景気回復につながってもらいたいものです。

本日(2012年7月8日)の日本経済新聞3面に「教育費積み立て 優遇」の記事があります。

教育資金を積み立てる際に税制で優遇するというもので、積立期間中の利子や運用で得た利益を非課税にする案が有力とあります。早ければ2013年度の導入を目指すようです。

具体的には、孫や子供を受取人に指定した口座に対して、教育資金の積み立て目的である場合に限り、利子や運用益に対する課税を免除することになります。資金を引き出す際に、教育目的であることを証明する書類の提示などを求める案もあるようです。

現在の低金利時代では、教育資金の利子や運用益が非課税になっても大きなメリットになるとは思えませんが、祖父母の資金を若い世代に移転して有効活用を促すという狙いがあるようです。

さて、贈与税の非課税を規定する相続税法第21条の3に、次の条文があります。

「扶養義務者相互間において生活費又は教育費に充てるためにした贈与により取得した財産のうち通常必要と認められるもの」

祖父母と孫は一般的には扶養義務者相互間ではないと思いますが、教育費の贈与ということであれば、一般的には非課税とされているものと思います。

今回の「教育資金優遇税制」では、孫や子供を受取人に指定した口座で積み立てるということであれば、財産としては積立段階で孫や子供に贈与税が非課税で移転したと見ることができるのでしょうか?

もしそうであれば、低金利の時代においては、利子や運用益が非課税になるからというよりも、相続財産を減少させる効果があるのでこれを活用しようという動きになるのではないでしょうか。

記事によると親族が口座に拠出する際の所得控除なども検討しているとあります。相続財産が減少できた上に、所得控除もできるとなれば、大いに活用されそうですね。

まだ詳細は決まっていないので、上記はあくまで可能性にすぎませんが、この制度を今後も注目していきたいと思います。

6月29日(金)に安住財務大臣が記者会見を行い、海外から日本向けに配信する音楽や電子書籍などのサービスに、消費税を課税する方向で検討したと発表しました。2014年の消費税8%増税時点で課税を開始することを検討するようです。

消費税は、日本国内での取引に課税がされます。音楽や電子書籍などを配信する拠点が、日本国内にある場合には「国内取引」として課税がなされ、配信拠点が日本国外の場合には「国外取引」として課税がされません。

もしこれが「電子」ではなく「モノ」の世界であれば、「輸入取引」として輸入通関時に消費税が課税される仕組みになっていますが、電子配信の場合にはこれにも該当しません。

この検討を始める背景には、アマゾン・ドット・コムが日本での電子書籍販売を始めることや、楽天がカナダの会社を買収して電子書籍販売を始めることなどの伏線があります。

報道によると、国内への参入を決めた海外企業に事前登録を義務付ける「課税事業者登録制度」を検討するとあります。この方法はEUで導入実績があるようです。

「国内でがんばっている企業が損をしないように、公平を保つことが一つの論点になると思っています」と会見では大臣は語ります。

国内に拠点がない海外企業に日本での納税義務を徹底させることは容易なことではありません。いろいろ抜け道がありそうな制度になりそうですが、日本企業の海外流出を防ぐ一定の効果はあるものと思います。

どんな制度になるのか、今月(7月)からの研究会での検討に注目していきたいと思います。

日本の消費税を平成26年4月に8%、平成27年10月に10%に上げるということで、政局は混乱しています。

この10%という水準の意味合いを、諸外国の消費税(付加価値税)の税率の推移を見ながら考察してみましょう。添付は財務省のHPに公開されている図表です。

消費税率.gif



1970年前後に、ヨーロッパの主要国で導入されたときに、既に10%という税率で開始されました。少しづつ税率が上がり、20%前後になっている国が多いことがわかります。

一方、日本は20年ほど後の1989年に3%で導入。平成7年に5%に上がったのを最後に定着しています。

日本の財政赤字が大きいのは厳然たる事実です。歳出の半分を国債の発行で賄っているわけですから、増税論議は当然の話ということになります。しかも、諸外国に比べる限りにおいては、日本の消費税率はまだまだ低い水準です。

グローバル社会の中では、租税条約の締結なども通じ、税制も均一化してきています。大きな枠組みとしての税制は、他国とのバランスも視野に入れざるを得ない面があります。

誰でも税金が増えるのは嫌なものです。毎日の買い物の値段が高くなるのは、困ったものです。できれば消費税は今のままであって欲しいと思います。

では、消費税が10%になってしまったら暗黒の世界がやってくるのかといったら、そんなことでもないと思います。20%といった付加価値税の世界で、ヨーロッパの人々は生きているわけです。

日本でも消費税のなかった時代と比べ、現代において5%の消費税を払っても世の中は回っています。消費税が景気悪化の時代と重なっていますが、消費税こそが景気悪化の原因だと言う分析は、短期的にはあっても中長期的にはないのではないでしょうか。

もっとも消費税の増税については、中小企業者の税転嫁の問題や、低所得者の負担軽減など、解決すべき問題はたくさんあります。これは消費税が、経済的に中立的であるためにも不可避な課題です。

この増税をチャンスに変えることができる点があるとしたら、国民が「税」の意識を変えるきっかけになることではないかと思います。

10%になれば国民が買い物の都度、税の痛みを感ずることになります。これは国民の税へ関心が高くなるとともに、税金の使い道にも関心が高くなることを意味します。

欧米人は日本人よりはるかに税への関心を高く持っていると聞きます。日本人は、これまで「お上まかせ」で来ていましたが、震災や原発の問題を通して「お上にまかせてはおられない」という意識が芽生えてきたように思えます。

大法人による法人税や高所得者の所得税、サラリーマンの源泉税で社会が賄えていた時代は、国民の義務である「税」にも関心を高く持てないのかもしれません。

消費税という税を負担することによって、日本国民が、日本をどうしていこうか、どういったことにお金を使っていこうかということに関心を持てるようになれば、増税も意味を持つのではないでしょうか。ピンチがチャンスで、日本が力強くなるきっかけになって欲しいと思います。

楽観的に過ぎると言われるかもしれませんが、毎日の実りのない政局の報道に接していると、そういう希望を持たずにはいられません。

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