小規模事業者に消費税の納税義務を免除する「免税点制度」をご存知ですか?
基準期間(法人の場合には2事業年度前の事業年度)の課税売上高が1,000万円以下の場合には、消費税の納税義務を免除するという制度です。
この制度によって、消費者が負担する消費税相当額が事業者の手元に残る「益税」とされることがあります。納税義務が免除される事業者であっても、仕入れに消費税を負担しているので、丸々売上の5%を得しているわけではありません。
零細な事業者に消費税の納税義務を課することはないだろうとの考えで、現在は「基準期間の1,000万円」という線引きがなされています。
しかしこの「基準期間の1,000万円」というルールを逆手にとり、意図的に免税の恩恵を受けることができる場合があります。
たとえば、大企業グループなどは、新設法人であっても初年度から相当な売上が見込まれる場合がありますが、設立時の資本金を1,000万円未満にすると初年度は免税事業者に該当します。
このような問題が指摘される中で、本年8月10日に消費税増税が可決された法律の中で、大規模企業グループの免税点制度利用に一定の制限をするルールができました。
平成26年4月1日以後に設立される法人から,資本金の額が1,000万円未満であっても,基準期間に相当する期間の課税売上高が5億円を超える法人が50%超出資して設立した法人である場合には,事業者免税点制度の適用がなくなることとなりました。
消費税が8%、10%と上がる中で、「益税」問題がどんどん解消されようとしています。国民感情的には健全な方向だと思いますが、一方でどんどん複雑な税制になってきています。
日本は租税法律主義です。複雑な税制の中で、税理士が企業に貢献できる機会はますます増えているように思います。