10月19日(金)朝日新聞の朝刊の記事に、「仕入れ控除で消費税逃れ」という記事が掲載されていました。
http://www.asahi.com/national/update/1019/TKY201210180854.html
消費税というのは、納税義務者である事業者が消費者や取引先に消費税を転嫁(納めるべき消費税相当額を売上に上乗せして請求すること)した上で国に納めるべき税金です。
消費税を納めるときに、事業者自身が仕入や経費として支払っていた消費税について、一定のルールに基づいて控除をすることができます。
これを「仕入税額控除」とよんでおり、この控除をしないと事業者に過大な消費税の税負担となります。
消費税は、酒税やたばこ税などと同じ「間接税(納税義務者と税負担者が異なる税のこと)」と呼ばれていますが、それらの税と異なり流通のあらゆる段階で課税がなされます。
あらゆる段階で課税がなされるからこそ、「仕入税額控除」という仕組みを設けて、税の累積による過度な税負担が排除されています。
難しい表現になってしまってすいません。
言いたいことは、仕入税額控除は、消費税の仕組みを成り立たせるために必要なルールであって、納税者に与えられた恩典などではないということです。
消費税法の条文で、一定の帳簿保存や詳細な控除ルールが定義付けられていることから、仕入税額控除は納税者に認められている一種の恩典のような位置づけと誤解されることがあります。
この記事では、実際に行っていない仕入れにかかる消費税を控除して納付すべき消費税を過少申告したといった不正が報道されています。
これは明らかに消費税法に反した行為であり問題です。しかし「仕入れ控除で消費税逃れ」の見出しに違和感を覚えます。
この見出しを見た読者は、消費税の仕組みとして不可欠な「仕入税額控除」そのものに問題があるというように誤解するのではないでしょうか。
消費税の税率アップに向けて、脱税を指摘しようとするこの記事自体は結構だと思いますが、見出しはもっと本質を捉まえたものにしてもらいたいと思います。