東日本大震災の復興財源として、平成23年度税制改正での法人税減税を見直そうという動きが出ています。
国際的な法人税率競争の中で、日本もおよそ5%の法人税引き下げを予定していました。住民税などを含めての実効税率が、従来の40.69%から35.64%に下がることになります。
法人税の減税とセットで所得税や相続税の増税が予定されていましたので、法人税の減税をやめるということは、結局それらの増税分が復興にあてられるという見方もできると思います。
また、復興にあてるため、こども手当の見直し議論もあります。子供手当は所得税の扶養控除の廃止とセットで導入されていますので、子供のいる家庭から復興支援という見方もできます。
復興財源のための財源の見直しにあたっては、さらにその元の財源が何であったかも忘れないほうが良いと思います。
甚大な被災地の状況を考えると、法人税減税の廃止もしくは延期、子供手当の縮小・廃止も必要なのだと思います。きちんとした議論で迅速に決めてもらいたいと思います。
次の議論としては、それだけでは不足するであろう財源をどのように作るかが問題になると思います。
湾岸戦争のときのように時限的に付加税率をつけて法人税を増税するという方法もあると思います。これは導入しやすく、また元に戻しやすい方法です。
個人的に危惧するのは、消費税率をアップして復興財源にあてるという議論です。国民全体で復興を支援しようということで、一気に税率アップの議論が前倒しになる可能性はあります。
3月6日のコラムでも書きましたが、消費税増税は、事業者がきちんと消費税を価格に転嫁できてこそ機能します。中小企業者では、「益税」どころではなく「損税」になりかねない消費税の問題点を充分に国民に理解してもらえてからの税率アップであって欲しいと思います。