先週末(18日、20日)と今週木曜日(24日)に「相続税法の改正による影響」セミナーを開催しています。
その中で話をしているのですが、昨年、平成22年の税制改正で「小規模宅地等の特例」が改正になっています。これは、被相続人の自宅であれば、一定の要件を満たすと240㎡までは自宅の土地の相続税評価額計算にあたって8割引きをしてくれるという制度が、縮小されています。
例えば、自宅を配偶者と子供(独立して別居している)が共有持ち分で相続した場合、従来であれば、配偶者が住んでいることから子供が取得した部分も8割引きの適用を受けることができました。しかし、平成22年改正で子供の分は、子供が現に居住していないことから、8割引きの適用がなくなりました。
それでも、昨年は「まだ基礎控除が大きいので我が家には相続税は関係ない」と考えることができるケースが多かったと思いますが、平成23年税制改正で予定されている次の基礎控除の減額が国会で通ると、多くの方が相続税が身近なものとなります。
従来 5,000万円+1,000万円×法定相続人の数改正 3,000万円+600万円×法定相続人の数
妻と子二人の場合には、8,000万円が4,800万円に減額されます!
仮に一次相続(夫の死去)では、妻に自宅をすべて相続させても、二次相続(妻の死去)のときには、既に子供が独立して持家に住んでいる場合には、自宅はそのまま相続税の課税対象となります。相続税の納税資金が不足する場合には、処分を検討しなくてはなりません。
生命保険金の非課税(法定相続人ひとりあたり500万円)も、被相続人と生計を一にしていた相続人に限るという改正が予定されており、これまで「富裕層」だけが、相続税を払うというイメージがすっかり変わることになりそうです。
このことは週刊誌などでも書かれ始めていますが、まだまだ国民全体に知れるのは時間がかかると思います。大変なことだと思います。
気になるのは、相続税率の変遷を見てみると、平成15年までは最高税率が70%であったことです。平成23年税制改正では50%から55%に最高税率が上げられる予定ですが、「富裕層」以外に相続税が課税されるようになると、「本当の富裕層からもっと税金をとれ」なんてことになり、70%の税率へなど簡単に戻されてしまいそうな気がします。
やはり、政治への関心を高めるべきときなのかもしれません。