本日の日本経済新聞の一面に、政府が被災地復興へ税減免措置の検討に入ったとの記事がありました。
1995年の阪神・淡路大震災のときに同様の措置が実施されています。そのとき以上の規模の災害であることが明らかになった今回の震災でも当然に対応が必要であり、早急な発表が求められます。
措置の内容としては、次のリンク先の大和総研のレポートにある阪神・淡路大震災のときのものがベースになると思われます。
http://www.dir.co.jp/souken/research/report/law-research/tax/11031501tax.html
申告期限・納付期限の延長、住宅・家財の損失の所得控除、法人税の繰り戻し還付、固定資産税の非課税、登録免許税の減免などが柱になります。
これは会計的にも、東北・北関東など今回の震災の地域に本支店・工場などを持ち、3月末に事業年度末を迎える上場企業の決算に大きく影響してきます。
これら税制の措置は極めて重要であり、早期の決定が必要です。
それを踏まえた上で、あえてコメントをしますが、税制上の措置は負担の軽減に過ぎず、これを行ったからと言って復興への支援とはなりえません。
申告期限の延長などは、当然の対応ですし、震災による損失の額に応じての過去の税金の還付などは、「税金を払っている企業」のみが権利を持つ措置です。
法人税の繰り戻し還付は、その時の経済情勢により税制として存在することもあるような制度ですので、この非常時の対応としてそれほど有り難いものとは感じません。
そもそも払っていない税金を還付されることはありませんし、どんなに震災による被害が大きくても消費者に転嫁した消費税の納税義務が免除されることもないでしょう。
最後のところで「課税の公平」のロジックがありますので、そこが大きく崩されることはありませんし、私もそれで良いと思っています。これによって税金を充分に納めている大企業が優先的に救われるというのも税理論上、そうなるしかないと思います。
新聞では「被災地復興へ税減免」と大きな見出しにはなっていますが、この程度のものはさっさと導入すべき措置であり、税金ではできない本当の「支援」をもっと政府には検討してもらいたいと、個人的には思っています。