昨年の東日本大震災に発生に伴い、多くの個人の方が、被災者支援のために義捐金等を支出していることと思います。
日本赤十字やユニセフ、地方公共団体などに、個人的に正式な手続きを踏んで拠出した方も多いと思いますが、その多くは、職場内に置かれた義捐金箱への寄付であったり、街頭にたつ子供たちの声に励まされて寄付をしたものだと思います。
私自身も、多くは街頭やコンサート会場、パーティ会場など人の集まるところでの義捐金でした。
さて平成23年分の所得税の確定申告にあたって、それら寄付金・義捐金の扱いはどのようになるのでしょうか。
結論から言うと、街頭の募金箱などで行った寄付は領収書などの支払いを証明する書類がないため、所得税計算において何ら控除は認められません。
寄付金は、国や地方公共団体、特定公益増進法人(税務上の一定の要件を満たす公益法人)などに対するものであれば、その年に支出した合計額から2,000円を超える金額が、所得税の計算上「寄付金控除」として控除対象となります。
しかし前提としては、これらの特定の寄付先に寄付をしたことが証明できなければ「寄付金控除」を受けることはできません。
所得税が少なくなるから寄付をしようと考えた人は恐らくいないと思います。何か自分のできることはないかと考えて義捐金を拠出したのだと思います。
そういう意味では所得税が少なくならないこともやむをえないとも言えます。税法上、本当に払ったかどうかわからないものまで認めるわけにもいきません。
一方で、寄付先を自分で選び、自分で銀行や郵便局に赴いたり、インターネットバンクを利用したりして、拠出した寄付金については、支払いが証明できますので、税務上対象となる団体に払ったものであれば、原則寄付金控除ができます。
自分の大切なお金の使い途として、所得税の控除も視野にいれて寄付をするという行為も尊いものだと思います。
東日本大震災関連の寄付金については、支払い先によっては、所得税の寄付金控除に加えて、住民税の寄付金控除が認められるものや、所得税の税額控除との選択適用が認められるものもあります。
寄付金を拠出した方で、領収書をお持ちであるなどその支払いを証明できる方については、税務上どのような取り扱いになるかをしっかり確認をして、確定申告をして頂きたいと思います。