先週のコラムで書いた「民主党税調」。ここ1週間の報道ですっかり税制改革の主導権を握っています。実質的に財務省主導である「政府税調」とは、一線を画しているようです。
いよいよ税の世界での民主党のリーダーシップが問われます。
思えば民主党政権になってから、財務省の理想とする「税制」の道へひたすら走ってきた歴史です。注目していかなければなりません。
さて、その民主党税調は、相続税を復興増税に加える案を9月22日に提示しました。法人税、所得税の付加税に加えて、相続税も税率を上げる(もしくは同様に付加税かもしれませんが)ことによって、復興財源に充てるということです。
黒字法人や所得のある個人にばかり頼らず、国民全体が貢献する税制とすべきとの考えに基づいています。
しかし、実際はどうでしょう。死んだ人のうち相続税の対象となっている人は現行税制で100人に4人、平成23年の改正税法が通って100人のうち6人程度だと言われています。
国民全体が貢献するとは到底言えず、一部の方の負担を増やすだけです。相続税が担っている役目は、国民の資産の再分配機能ですので、その時期に亡くなった方の相続人だけ税金が重くなるのは、どうも私にはなじめません。
同様に、たばこ税などの間接税もなじめません。たばこを吸った分だけ復興に回るというのも変な気がします。
法人の利益や個人の所得は、その年に日本という国において創出された価値ですので、そこに課税される税金から優先的に復興に回すというのは、決して偏りがあるとは私は思いません。
政治的な難さもあるのかもしれませんが、ドタバタ決めたりせず、それぞれの税金の趣旨を踏まえて、国会ではしっかり議論をしてもらいたいと思います。