昨日(10月29日)は、多摩信用金庫と一橋大学が主催の「多摩 ネクストリーダープロジェクト 第3期生」の卒業式でした。
趣旨やそのときの様子は次のリンクをご覧ください。↓
調布の税理士西山のブログ(リンク)
その記念講演で、ホッピービバレッジ社長の石渡社長のお話を聞きました。ちなみに石渡社長は「ホッピーミーナ」と称してブログを書いてらっしゃいます。
私は事業承継の関心から、石渡社長の本を読んだことがあり、ホッピー社の歴史や石渡社長の生い立ちなど詳しく知ってました。私の事務所の地元調布に工場がある企業でもあり、一度、直接お話を聞く機会があればと思っていましたので、大変ラッキーでした。
石渡社長は、昨年3月にホッピー社の3代目社長になりましたが、10年ほど前から、父親でもある2代目社長のもと副社長として実質的に経営をしてきました。
同族経営者との確執や、経営革新が古参の従業員により拒否され辞表を受け取るなど、事業承継にからむ数多くの困難を経験してきています。
その中で、経営の師匠に学び、アイデアを出し、従業員と向きあい、精力的に動き、会社の売上を伸ばします。年8億円の売り上げを40億円に増加させるに至るまで、若き経営者の青春奮闘記は大変面白く読みました。
その石渡社長の昨日のお話は、事業承継から始まります。
虎屋の例を引き「歴史は古いが経営は最新」と紹介します。事業承継のテーマを「永続性」と定義し、「変わらないもの」と「変わるもの」が必要と説きます。
そんな社長が、ずっとこだわったきたことが「人材採用と人材教育」です。
ホッピー社では、教育を「共育」と呼びます。共に育つということです。
昨年、従業員が会社のため良かれと思ってとった行動が、取引先の信頼を失うという事件があったそうです。そのときに、これまで社長が直接従業員とコミュニケーションをとって「共育」してきた状況に限界を感じました。
そんなときに、参加した講座で「増加した社員には、形式にとらわれないコミュニケーションは機能しない」ということを聞き、まさにこれであると思い至ったそうです。
そこからは、リーダーチームが、社長の経営理念を翻訳して伝える(すなわち営業のリーダーであれば、経営理念を営業社員にわかる言葉で伝える、経理であれば経理社員にわかる言葉で伝えるなど)ようにしました。
しかし従業員40人規模、ここ5年採用者が90%を占め、平均年齢31歳の「老舗ベンチャー」においては、そもそもリーダーも経験の浅い若手です。
リーダに経営意識がなければ、経営者の言葉を翻訳しようがありません。そんな従業員に職業意識を高く持ってもらうために、今年ホッピー社では、従業員それぞれが「自分の職業感を見つけよう」とトライしています。
石渡社長のスライドにも一言、
「職業の中に人生がある」
石渡社長も語っていましたが、ホッピー社自体、きれいごとばかりでなく、まだまだ発展途上であるそうです。
しかし、社長が方向性を指し示し、従業員がそれぞれの職業感を見つけ、会社一丸となって仕事ができたならば、ホッピー社はどんなに強くなることでしょうか。
ホッピー社のこれからの成長が楽しみです。