10月8日の日本経済新聞の朝刊一面トップ記事として、「復興特区法人税ゼロ」という記事が載っていました。
以下、その記事からポイントです。現在の法案ですので、もちろんこれから変更があると思います。
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(1)復興特別区域を指定する
対象は、東日本大震災で一定の被害が発生した200超の地方公共団体となります。その地方公共団体が復興計画を作成して、国に認定を受けることになります。
この復興特別区域(復興特区)は、法人税ゼロだけではなく、さまざまな優遇の対象となります。
(2)法人税ゼロになるための条件
次の条件を満たす企業になります。
① 2015年までに指定を受ける
② 5年間の所得を積み立て、特区内で設備投資や建物の建設に再投資する
③ 被災者を5人以上雇う
④ 総額1千万円以上の人件費を払う
⑤ 特区内に本社があり、特区外に事業所がない企業の新設に限定(租税回避行為の防止のため)
(3)対象法人のイメージ
税金を払える、つまり利益が上がる会社でなければ法人税をゼロにする意味がありません。したがって、初年度から利益を上げられる企業の利用を想定しています。
つまり、大企業による特区内での新設法人を期待している税制になります。地元の中小企業グループによる起業も期待できます。
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歓迎したいと思います。しかし、上記記事を読むと、利益を再投資するための準備金の積み立てを経費にするということのようです。
通常の法人税の計算なら、将来見込まれる費用を経費(損金)にすることは認められないのですが、この特区ではそれを認めてくれるということのようです。
正確な税制がどうなるかわかりませんが、これを読む限りは、これは税金の繰り延べ効果がありますが、「法人税ゼロ」と言って良いのかどうかは疑問です。
少なくとも「法人税ゼロ」というのが、特区ではゼロ税率にするとか、非課税にするいったことではないようです。
古川経財大臣が「海外からの投資も呼び込みたい」と意気込んでいる記事も(朝日新聞10月8日夕刊)ありますが、それほどのインパクトが出せるものなのかよくわかりません。
しかしながら、被災地の復興に今後莫大な復興投資がなされていく中で、その復興を担うのは大企業であることは明らかです。その大企業が地元への再投資をしやすい環境を整えることは大きな意味があると思います。
この法案が最終的にどのような法律になるか、注目をしていきたいと思います。