あけましておめでとうございます。2012年最初のコラムになります。本年もよろしくお願いいたします。
さて2012年1月6日に「社会保障 ・税一体改革素案」が決定しました。これから国会で議論されていくことになります。
(1)消費税の適正転嫁
税金に関しては専ら消費税のことが報道されていますが、次のスケジュールが組まれています。
平成26(2014)年4月1日〜 8%
平成27(2015)年10月1日〜 10%
消費税率を上げたときに、税の「転嫁」が適正になされずに中小企業者に負担のしわ寄せがいく問題については、以前から私もコラムで書いてきました。
この点は素案の中でも「適正転嫁等への取組について」というタイトルの「別紙2」で、「ガイドラインの策定」「中小企業者への講習会」「不公正取引の取り締まり・監視」などを行う方針を公表しています。
消費税の増税が決まるならば、「適正転嫁の問題」についてはもっとマスコミの報道でも力を入れてもらいたいところです。消費税導入のころ「消費税の増税に反対して価格を上げずにがんばる中小企業者」を美化するような報道があった記憶があります。こういったものは消耗戦の値引きにすぎないため、歓迎できません。
(2)相続税・贈与税
平成23年度の税制改正で廃案になった相続税法改正ですが、平成24年度改正ではなく、この社会保障と税一体改革に取り込まれることになりました。
内容的には、平成23年改正で予定していたそのままですが、適用時期は平成27(2015)年1月1日からとなっています。消費税の増税時期と同じです。
この法案が通れば、基礎控除の減額や税率アップなど相続税の増税まで3年間のカウントダウンとなりますが、一方で相続時精算課税の孫までの適用や、直系尊属からの贈与税率の緩和なども3年後になります。
いずれにしろ、増税時期が明確になることにより、今後相続税の対策への関心が高まることが予想されます。
(3)マイナンバー制
電話番号のことではありません。あまり良いイメージで語られて来なかった、いわゆる国民総背番号制です。これも平成27(2015)年の導入を目指しています。
マイナンバー制は、
自分の払った年金や税金がポータルサイトでわかるようになる
年金手帳、健康保険証、介護保険証もひとつになる
高額医療費の一時自己負担がなくなる
確定申告で各種証明書の添付が省略できる
低所得を偽装した生活保護の不正受給の防止
などなど、多くのメリットが想定されています。
プライバシーの懸念はあるものの、インターネット社会の大きな流れに乗っており、メリットは大きいと考えます。
マスコミの報道を見ていると「政局」に偏った報道が多く、誤解しそうになってしまいます。しかし「税」の切り口から見ても、どうやら大きく社会は変わろうとしていることがわかります。
今年1年も、税のゆくえを見て行きたいと思います。どうぞよろしくお願い申し上げます。