8月10日に消費税の増税が参議院で可決されました。2014(平成26)年4月1日から8%、2015(平成27)年10月から10%となります。
セミナーなどで消費税について話す機会があると必ず私が問いかけるのは、「消費税の納税義務者は誰であるか?」ということです。
所得税であれば、事業者や給与所得者など「所得」を得た人が納税義務者です。
法人税であれば、株式会社などがその儲けから払う納税義務者となります。
固定資産税は、土地・家屋などの固定資産を持つ人が納税義務者となります。
では消費税は?
消費者は納税義務者ではありません。消費者にモノを売ったり、サービスを提供する事業者が、消費税の納税義務者となります。
したがって消費者はレジで消費税を払わなくても、「脱税」にはなりません。ただし消費税を払わなければ、商品を売ってもらえないでしょう。
事業者は国に消費税を納めるために、消費者からモノの対価の額に含めて「消費税相当額」を受け取っているにすぎません。
レジでもらうレジペーパーに、「内消費税xxx円」と書いてありますが、一件一件納税されているわけではありません。事業者が一年分の収入支出の記録(帳簿)を作成し、その帳簿に基づいて納税を行います。
国が「消費税を10%にしますよ」と決めたら事業者は大変なのです。消費税を正しく納税できるように、しっかりモノの対価としてお金を頂戴しなければなりません。これができないと、納税の資金繰りに困ってしまいます。
耳をすますと、近未来から「消費税の増税分、値引きしといてよ!」などという声が聞こえてきそうです。特に中小規模の事業者は、消費税増税分の値引き圧力がかかると経営に大きい影響が出ます。
消費税の増税の裏には、利益を削って消費税納税をしなければならない事業者の存在を忘れてはいけません。
納税義務者は事業者であるという重みを、消費者の立場として知っておくことは大切だと思います。
納税義務者である事業者は、消費税の増税が経営に直結する現実を理解し、日頃からの経理処理など万全にしておく必要があります。
消費税の増税を目の前にして、会社経営のために税理士のアドバイスが今こそ求められてきているのです。