国税庁は、4月20日に東日本大震災に関する諸費用に関する法人税の個別通達を公表し、「災害損失特別勘定」の取り扱いなどが明らかになりました。
その内容は、被災事業年度の以下の(1)と(2)のいずれか多い方の金額の合計額を限度として,災害損失特別勘定として損金経理(会計上費用とすること)し,定められた明細書を法人税申告書に添付すれば損金算入(法人税の計算上費用にすること)できることが示されています。
(1) 「帳簿価額」−「被災資産の被災事業年度終了日の時価」
(2) 被災資産について,災害のあった日から1年以内に支出が見込まれる修繕費用等で被災資産の修繕等のために要する費用の見積額
保険金等の額で補填される金額がある場合には、その補填される金額は除かれます。
ポイントとしては、通常は修繕のための費用は、その修繕が終了した年度で損金となりますが、この通達の要件を満たせば、災害発生の年度において合理的な金額を損金にすることができるという点です。「早めに」損金にできるということがメリットです。
震災により損失が生じている会社は、ぜひ顧問税理士と相談をしてみてください。
個人的には、このような扱いは「通達」という行政機関内部の文書というものではなく、明確に法律として定めておいてもらいたいと思っています。今回のような大規模災害のときだけではなく、大小問わず、災害の損失により担税力が失われている納税者のときには、早めの損金処理を認めるべきであるからです。
そもそも損金にするための要件として「通達」の中で「明細を申告書に添付すること」を規定することに違和感があります。「通達」はあくまでも、国税庁長官が国税局長に出す法令解釈の指針です。その中で、明細書の申告書への添付を納税者に求めることは法令解釈の域を超えていると思われますが、いかがでしょうか。
税務署の担当者の方も通達だけでは、やりにくいのではないでしょうか。このような不思議なことが、あたりまえのようにおきています。課税の要件については、「通達」ではなく法律に明記するようにすべきだと思います。