今私は、手元にある民法相続編・相続税の書籍を見ています。
相続税の申告期限は、死亡の時期が明らかな場合には、相続人がその相続の開始を知った日から10カ月以内です。
地震や台風などの事変によって死亡したことが推定される場合には、死体によって死亡が確認できない場合でも、事変の調査に当たった官公署が死亡を認定するという制度があり、これを「認定死亡」と言います。(戸籍法89条)
認定死亡の場合には、官公署から市町村長に対して死亡の報告がなされたことを知った日から10カ月以内が相続税の申告期限となります。
また、例えば家屋の焼失により父子が死亡した場合、死亡の時間的な前後が明らかでない場合には、その者は同時に死亡したものと推定されます。
税理士をしていても、実際にこのような事例にお目にかかることはありません。何か人ごとのように思えて、通常書籍を見ても通りすぎてしまう部分でした。
しかし震災後に思うのは、日常の暮らしの中で、いかに突然に災いが起きてしまうのかということです。
ものごとが順調である限り法律は不要であり、災いがあったときこそ、どのようにルールが決められているかが重要になってきます。
まだ被災者の方々は相続や相続税の心配をする状況ではないと思います。今後申告期限の延長や、一定の減免なども決定されると思います。
しかし、震災により死亡された方が一定の財産を持っていた場合には、いずれ相続や相続税の問題が生じてくることと思います。想定していないような問題も生じてくると思います。
税理士などの専門家は充分に理解をして、アドバイスに努めることが義務であると、自分自身の肝に銘じたいと思います。