今朝(6月12日)の新聞を見ていると、復興財源としては消費税増税はなさそうです。裏返すと、社会保障財源としては、消費税増税もう決まったぞということでしょうか???
さて、昨日(6月11日)の朝日新聞の朝刊13面「私の視点」というコラムに医療ジャーナリストの田辺功氏が「不公平な消費税 病院の消費税を還付せよ」という意見がのっていました。
趣旨は、病院はその収入が消費税の非課税であるために、自ら払っている消費税について還付を受けることができない。これは、輸出産業の売上が「輸出免税」であるために自ら払っている消費税の還付を受けることができることと比較して、不公平であるとの論です。
基本的に消費税は、税金の最終的な負担者である「消費者」に正しく転嫁されることを前提に、事業者においては損益に影響させないしくみとなっています。
その方法として「仕入税額控除」があります。これは事業者が国に消費税を納付するときに、その事業者が仕入や経費で払っている消費税を控除することができるというものです。売上に転嫁した消費税より「仕入税額控除」が大きい場合には、事業者に消費税の還付がされることになります。
ただし非課税売上がある場合には、その非課税売上に対応する仕入や経費については「仕入税額控除」は認められません。
つまり医療機関のような、その収入のほぼすべてが非課税である事業者については、「仕入税額控除」の適用がないことになります。この場合は、仕入や経費について払った消費税は、そのまま医療機関の費用となります。
田辺氏も触れていますが、医療機関の収入は、すべて診療報酬や薬価など公的に定められますので、消費税が増税となる費用増加分について収入に転嫁することは困難な業種です。
外国に消費税を負担させないという点から定められている「輸出免税」と異なり、消費税を免税(→0%課税)にすることに理論的根拠を見つけるのは簡単ではありません。
しかし消費税の増税が現実に行われる場合には、医療機関の負担は非常に大きいものとなります。医療を守るためには、政治的な判断で、田辺氏の意見のように消費税の還付を認めるか、診療報酬に消費税増税分を織り込むといった方法が求められることかもしれません。
いずれにしろ、マクロ視点のみではなく、消費税のしくみを踏まえて増税の影響をしっかり調査した上で消費税増税の必要性の議論をしてもらいたいと思います。