何度もこのコラムで書いているように、法人減税や相続税の増税を含む平成23年度税制改正がどうなるかは決まっていません。
一方で、消費税10%を方向づける議論として有名な「社会保障と税の一体改革」の中では、税制の全体のゆくえが決定づけられています。
「資産課税」と呼ばれる、相続税・贈与税においては、つぎのように明記されています。
「資産再分配機能を回復し、格差の固定化を防止する観点から、相続税の課税ベース、税率構造を見直し、負担の適正化を行う。」
「これと併せ、高齢者が保有する資産の現役世代への早期移転を促し、その有効活用を通じた経済社会の活性化を図るとの観点から、世代を超えた資産格差の固定化にも配慮しつつ、贈与税を軽減する。」
負担の適正化とは言うまでもなく増税を意味しています。
昭和63年の税制改正前までは、相続税の最高税率は75%(現行50%)、基礎控除も2000万円(現行5000万円)+400万円(現行1000万円)×法定相続人の数でした。「資産再分配機能の回復」のために、どこまでを想定しているのか気になります。
贈与税については、減税と言っていますが、「世代を超えた資産格差の固定化にも配慮」という点が、どの程度まで考慮されるのか、気になります。
いずれにしろ、平成23年度税制改正の法案が、廃案になることがあっても、将来的には同じような改正が待っていることは間違いないと思います。