珍しく国際税務のことを書きます。もともと私(西山)はこれが専門でした。
香港との租税条約が2011年8月14日に発効されます。日本では2012年1月1日から適用になります。
香港といえば、
・香港地域内の所得のみに税金が課される
・譲渡益(キャピタルゲイン)に課税がない
・税率が低い
という特徴があることから、軽課税国(タックスヘイブン)のイメージが強く、租税条約交渉のテーブルにつくイメージからはほど遠かったものです。
相手国に配当・利子・使用料を払う場合、香港では源泉税という制度がなく、日本側のみ源泉税がかかるのですが、租税条約によりこの源泉税率が軽減されることになります。
例えば、来年1月1日からは、日本から香港へ配当・利子・使用料を支払う場合には5%(もしくは10%)の源泉税率となります。現在は20%の税率ですので、大きな軽減です。
また租税条約には情報交換規定というものがあります。これにより、日本の税務当局は香港の税務当局と納税者の情報を交換することが可能となります。
租税条約を結ぶということは、税金では対等な関係に立つということです。これで香港も税制上は一人前の「国家」扱いとなります。
私はかつてシンガポールの会計事務所で税金の仕事に従事していたことがあります。香港とシンガポールは、もともと英国連邦で、根本の税制の考え方が共通しているので、親しみを感じます。
シンガポールは日本との長い租税条約の歴史があります。これがシンガポールの発展に寄与してきた面はあると思います。
香港も租税条約を結ぶと税制が国際ルールにのっとることになります。これにより課税予測がたてやすくなり、互いの投資の信頼性が高くなると期待されます。
我が国の発展のためには、日本と香港の租税条約はもっと評価されるべきかもしれません。