職業がらでもありますが、過去一年ほどずいぶん新聞報道で税制改正が賑わっていた気がします。
そこで、現在研修講師を務めていることもあり、ここ一年の税制改正の経緯を整理してみました。
① 平成22年12月16日
平成23年税制改正大綱が発表。法人税の減税、相続税の増税など、話題の改正が目白押しでした。民主党政権になっての本格的な大改正が発表されました。
② 平成23年3月11日
東日本大震災発生。
③ 平成23年3月31日
6月まで租税特別措置法などの期限切れ法律を延長する法律が成立。震災とねじれ国会の影響です。3月31日に改正税法が国会を通らないという異例の事態でした。
④ 平成23年4月27日
震災特例法公布。震災関連の寄附金の拡充、雑損控除の期限延長などが盛り込まれました。
⑤ 平成23年6月30日
平成23年税制改正大綱の一部が成立。年金所得者の申告不要制度や消費税の免税判定など実務的な重要項目も成立しています。
この後半年、何も決まらず。
⑥ 平成23年12月2日
復興増税の施行(所得税が平成25年〜49年まで2.1%増しとなるなど)および平成23年税制改正の一部が施行(更正の請求期間が5年に伸びる、当初申告要件の廃止など、実務的に重要な改正)
⑦ 平成23年12月10日
平成24年税制改正大綱が発表。給与所得控除の上限設定など。
⑧ 平成23年12月14日
震災特例法第2弾の施行
⑨ 平成24年1月6日
社会保障・税一体改革素案の発表。消費税増税、相続税増税など。
以上です。
振り返ると、平成23年税制改正大綱は、そこに全てが書き込まれているかのような壮大なものでした。
結果的には、税の根本にかかわるような重要事項は先送りとなっていますが、実務で重要とされる多くの事項が導入されています。
特に更正の請求期限や当初申告の廃止などは、税の世界では課税庁と納税者が同じ土俵にあがるという意味ではエポックメイキングな改正です。
あらためて整理すると、我々税理士は、政治に翻弄される華やか(?)な改正ばかりでなく、このような地味(!)な改正にきちんと目を向けている必要があると思いました。