相続税の計算に「小規模宅地等の特例」というルールがあります。
例えば、被相続人が亡くなる直前に居住していた建物の敷地を、自分の家を持っていない息子が相続する場合などに、240㎡までの部分の評価額を8割減額して相続税の計算対象となります。
この適用を受けるためには、被相続人が亡くなる直前に居住していることが要件となります。しかし病院に入院していたり、老人ホームに入居していた場合には、亡くなる直前に居住していないことから、「小規模宅地等の特例」の適用を受けることができないのでしょうか。
入院のケースでは、病院は住むところではありませんし、治療が終了しだい自宅に戻ることが前提となります。いつでも退院して自宅に戻ることができる状態であると思います。したがって、入院の場合には「小規模宅地の特例」の対象となってきます。
老人ホームはどうでしょう。老人ホームの中でも、特別養護老人ホームでは、心身の必要性から必要な介護を受けるために強制的に入居する面があります。この場合には、入院と同じ取扱いになるものと考えられます。
しかしながら終身利用権を取得して入居するタイプの老人ホームの場合には、入院のように一時的に自宅を離れているものとは言えず、引っ越しをしたものと扱われることになります。この場合には、「小規模宅地等の特例」の適用を受けることができません。
ひとり暮らしの親が老人ホームへの入居を検討する際には、将来の相続税の心配もしておかなければなりません。「小規模宅地等の特例」の適用があるから大丈夫!と安心していてはいけないのです。